欧州映画

2004/04/28　13:19
「EUフィルムデーズ」5月11日から29日まで東京で開催　

EU加盟国大使館と駐日欧州委員会代表部の主催で行なわれる「EUフィルムデーズ」は、　
欧州の映画製作の多様性と特徴を紹介するユニークな映画祭。
「EUフィルムデーズ」は日本でおなじみの、米国アカデミー賞受賞者、ニール・ジョーダン監督　
（『クライング・ゲーム』、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』　）とペドロ・アルモドバル監督
（『オール・アバウト・マイ・マザー』、『私の秘密の花』）の作品が紹介された。
また、東京国際映画祭でグランプリを受賞したチェコ出身のヤン・スヴィエラーク監督（『コーリャ』）、
ヴェネチア国際映画祭金獅子賞候補となったポーランド出身のイェジー・シュトゥール監督の作品なども上映された。
リトアニアからは特別ゲストとしてアルナス・マテリス監督が来日し、同監督の短編映画3作の上映と講演が行なわれた。
会場は東京日仏学院（飯田橋駅下車）東京ドイツ文化センター（青山一丁目駅下車）ならびに
スウェーデン大使館講堂（神谷町駅下車）の3カ所で入場は無料、すべて自由席となっている。
作品の大半は日本語の字幕スーパー付きで上映された。

ギャンブル・プレイ (2003) ニール・ジョーダン／アイルランド解説: 『クライング・ゲーム』『ことの終わり』などで人気のニール・ジョーダン監督による犯罪ドラマ。フィルム・ノワールの傑作『賭博師ボブ』をベースに、落ち目のギャンブラーが挑む大胆なカジノ襲撃計画をスリリングに描く。主演は『ハルク』のベテラン俳優ニック・ノルティ。さらに『ドーベルマン』のチェッキー・カリョ、『アンダーグラウンド』の個性派監督エミール・クストリッツァ、『レッド・ドラゴン』のレイフ・ファインズら渋めのキャスティングも魅力だ。ストーリー: ツキに見放され、リビエラの場末を徘徊するギャンブラーのボブ（ニック・ノルティ）に友人がある計画を持ちかける。それは、モンテカルロの高級カジノの金庫を襲うとみせかけ、カジノ所有の世界的名画を盗み出すというものだった。	オランダの光(2003) ピーター=リム・デクローン／オランダ解説: オランダを代表する映像作家、ピーター-リム・デ・クローンが、フェルメールやレンブラントの絵画に代表される”オランダの光”を追求した傑作ドキュメンタリー。絵画や写真、映画や現代美術など、さまざまな視点から答えを引き出そうとするテクニックが素晴らしい。オランダの風光明媚な自然や、歴史的絵画の色彩を表現するために選ばれたフジフィルムによる究極の映像美も必見だ。知的好奇心を充分に満たしてくれる一本。ストーリー: 17世紀のオランダ絵画の巨匠、フェルメールやレンブラントらの>絵画に描かれた美しい”光”。その存在に焦点を当て、芸術家や美術史家、気象学者などへのインタビューや、特殊な実験などからその謎に迫る。
ダーク・ブルー (2001) ヤン・スヴィエラーク／チェコ　1939年、第2次大戦下のチェコ。チェコ空軍教官のフランタは、部下で親友の若きパイロット、カレルとともにドイツに侵攻された母国を離れ英国空軍へ入隊する。ある時、カレルは戦地で窮地のところを英国人女性スーザンに助けられる。二人はその夜愛し合った。無事基地に戻ったカレルはフランタに彼女への愛を語る。しかし、後日カレルがフランタを伴ってスーザンを訪ねたとき、彼女はフランタの方に惹かれていくのだった。やがて、スーザンはフランタに自分の想いをぶつけるが、親友を裏切ることのできないフランタにはどうすることもできなかった…。	イン・ディス・ワールド (2002) マイケル・ウィンターボトム／英国　パキスタンのペシャワール。15歳の孤児ジャマールは難民キャンプで育ち、低賃金の工場で働いていた。そしてもう一人、家族で経営する家電販売店を手伝うジャマールの従兄弟エナヤット。2人はある日、ロンドンへ旅立つことになる。エナヤットの父親が息子の将来を案じて密入国業者に大金を払い、エナヤットを親戚のいるロンドンに向かわせようとしていたのだった。ジャマールも英語が話せるため同行することに。そして、いよいよ彼らは自分たちの新たな未来と希望を胸に抱き、6400キロ彼方の亡命先へ死と隣り合わせの旅に出る…。
ガーデン(1995 マルティン・シュリーク／スロヴァキア　ヨーロッパを代表する「ファンタジック」な映画作家、マルティン・シュリークの３作品が登場　「ガーデン」の主人公は、30歳のヤクプ。仕事も生活も思うようにいかず、同　居する父に愛想を付かされ、祖父の残した田舎の家に引越しする。その　家は廃墟のように荒れ果て、草の生い茂る大きな庭にはリンゴの木が実　をつけている。そこでヤクプは、不思議な少女へレナに出会う。「私の　好きなモノすべて」は、失業中のトマスが出会う、人生の一大転機を描　く。また、「不思議の世界絵図」は、古い地図を見つけた少女、テレス　カが、母親を探しに幻想的な森へ入っていくファンタジー。　　マルティン・シュリークは、スロヴァキアの豊かな自然のなかに、魔法　のようなストーリーと映像を描き出す、ファンタジー作家。舞台俳優を　父親に持ち、幼い頃から演技に親しんだ彼は、やがて、映像の世界で独　自の創造力を開花させていく。そんな彼の代表的な作品、1995年の「ガ　ーデン」は、第68回アカデミー賞でスロヴァキア代表作品としてノミネ　ートされ、世界で高い評価を受けた。木の葉が揺れる広い庭は、常に何　かが起こりそうな気配を漂わせ、厳しい現実に疲れた主人公、ヤクプを　不思議な世界へ誘う。次々と訪れる来客たちの奇妙でユニークな哲学　や、少女へレナの純粋さに、マルティン・シュリークの美意識が伺える　品。また、スロヴァキアのベスト・フィルム・オブ・ザ・イヤーに選ば　れた「私の好きなモノすべて」、スロヴァキア版「不思議の国のアリ　ス」と称される「不思議の世界絵図」など、穏やかなスロヴァキアの田　園が、神秘的に映し出されていく。	バルカン冒険旅行(1997) ソティリス・ゴリチャス／ギリシャ
記憶の森(2001) ザブー・ブライトマン／フランス	暗い日曜日(1999) ロルフ・シューベル／ハンガリー第2次大戦直前のハンガリー・ブダペスト。ユダヤ人ラズロは恋人イロナとともにレストランをオープンした。2人はオープンに合わせてピアニストのアンドラーシュを雇い入れる。ほどなく、イロナとアンドラーシュは互いに愛し合うようになる。しかし、イロナはラズロとも関係を続ける。 3人は愛を共有し合うようになり、危ういながらも微妙なバランスを保っていた。やがて、アンドラーシュがイロナに捧げた曲『暗い日曜日』が思わぬ大ヒットとなる。が、この曲が自殺を誘発すると問題に。さらにドイツがハンガリーに侵攻、3人の運命の歯車も狂い始める……。
モクシュ(2003) アンドレイ・ムラーカル／スロヴェニア	ヴァンダの部屋(2000) ペドロ・コスタ／ポルトガル解説: ドキュメンタリーとフィクションの境界を超え、世界各地の映画祭で絶賛された話題作。ポルトガルの鬼才監督ペドロ・コスタは、リスボンのスラム街に生きる若者たちを描いた『骨』の製作後舞台となった街に戻り、その続編ともいえる本作を手がけた。再開発で家々が取り壊され、ドラッグが蔓延するゲットーに2年間暮らしながら、絶望的な状況を淡々と生きる人々の日常を映し出す。薄暗い空間に射し込む光と、屋外に溢れる光を捉えた静謐な映像が印象的。ストーリー: 再開発工事と強制移住が進むリスボンのスラム街フォンタイーニャス地区。その街に暮らすヴァンダ・ドゥアルテは時折野菜を売り歩以外は、部屋を訪ねる人との会話や麻薬の吸引に余念がない。一方、劣悪な環境でも人々の暮らしが息づく街は破壊されつつあった。
バーグラーズ　最後の賭け(2001) カルロ・ローラ／ドイツドイツに実在したギャング兄弟の生涯を描く犯罪アクション。主演は「暗い日曜日」のベン・ベッカー。共演に「ベルリン・天使の詩」のオットー・ザンダー。1920年代。金や汚職、権力にまみれ腐敗しきったベルリン。市民は失意のどん底で暮らしていた。そんな中、鮮やかに金庫破りをやってのける2人組が現れる。ザース兄弟は、たちまち悪名を轟かせていったが…。	ふたりのトスカーナ(2000) アンドレア＆アントニオ・フラッツィ／イタリア　1943年、夏のフィレンツェ郊外。両親を自動車事故で亡くしたペニーとベビーの姉妹は、ユダヤ人のアインシュタイン氏と結婚した伯母カッチェンのもとへ引き取られる。アインシュタイン夫妻にはマリーとアニーという娘がいた。とくにアニーは突然やって来た2人のいとこが気に入らない様子で、彼女たちとしばしば衝突。それでもペニーとベビーは自然に囲まれた田舎での新しい暮らしに徐々に慣れていき、のびのびと楽しい日々を送っていった。しかし、やがてドイツ軍の侵攻とともにユダヤ人であるアインシュタイン氏にも魔の手が迫ってくるのだった…。
大理石に刻んだ名前(2002) エルモ・ヌガネン／エストニア	過去のない男(2002) アキ・カウリスマキ／フィンランド　ある日列車に揺られ、夜のヘルシンキに流れ着いた一人の男。公演のベンチで夜明けを待っていた彼は突然暴漢に襲われ、瀕死の重傷を負う。男は病院で奇跡的に意識を取り戻すが、過去の記憶を全て失っていた。身分証もなく、自分の名前すらも分からない有様。しかし、幸運にもそんな彼にコンテナで暮らす一家が手を差し伸べ、男は彼らと共に穏やかな生活を送り始める。そして救世軍からスープが振る舞われる金曜日。男はコンテナの主人に連れられ支給場所へとやって来る。そこで男は救世軍の女性イルマと運命的な出会いを果たすのだった…。
ラクダが町にやってきた(2000) イェジー・シュトゥール／ポーランド	ガラスの羽 (2000) レザ・バゲール／スウェーデン

アルナス・マテリス監督による3つの短編映画
アルナス・マテリス／リトアニア

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